博士っこんにちは!
『蓄光塗料』で遊んでるのだけど、蓄光ってなんであんなに光るの??
その仕組みを知ればもっとキレイに光らせることが出来るのかな?
確かに蓄光塗料の原理が分かれば、効果的な活用につながるじゃろうな。
よし、チッコちゃん、蓄光塗料が光る原理をUETAYAにまとめてもらうとするか。
すこし専門的な言葉が出てくるじゃろうが、最後までシッカリ読めばかならず、分かるはずじゃ!
「蓄光についてはまかせて!」と言えるぐらい詳しくなってもらえたら本望じゃ。
さっそく、UETAYAに「蓄光」についてこのページで解説してもらおうじゃないか。
この記事のもくじ
蓄光(夜光)塗料が発光する仕組み・メカニズム
発光の仕組み
蓄光塗料には蓄光顔料という物質が含まれています。蓄光の読み方は「ちっこう・チッコウ」です。
この蓄光顔料が「明るい時に受けた光を蓄えて、蓄えた光を時間を掛けて放出(発光)する性質」を持っているため暗闇で発光します。
蓄光顔料が受けた光エネルギーが『そのまま光として蓄えられている』ような仕組みで光るんじゃ。
さらに詳しく!蓄光(夜光)塗料が発光する仕組み
難しくなりますが、もう少し詳しく解説します。
- 蓄光顔料が光を受けると、光の内「紫外線領域」の波長エネルギーを受け「励起状態」となります。
- この状態は余分なエネルギーを持っている状態で不安定なため、蓄光顔料は余分なエネルギーを放出して元の状態「基底状態」に戻ろうとします。
- この時のエネルギー放出形態が「光」であり、また吸収された光と異なる可視光に変換された光であるため、その様子が発光として捉えられます。
一般的な物質は、太陽の日差しに晒された場合温度が上がります。光のエネルギーの一部が反射され色として認識され、一部が分子の運動により熱エネルギーに変換された結果です。
エネルギーの形態と変化はこの他にも沢山あります。熱や光(電磁波)以外に、運動・電機(電磁気)など様々な形態に変化するのですが、変化してもその総量は変わりません(エネルギー保存の法則)。
一般的な物質と異なり特徴的なエネルキーの変換を示す物質も様々あります。それらは『機能材料』として応用活用されます。例えば超音波は圧電セラミックスが電圧を受けて振動(運動エネルギー)を発生することで実現します。
このように特徴的なエネルギー変換を示す『機能材料』の一つとして、受けた光のエネルギーの一部(紫外線領域)を、光の反射や熱としてではなく、可視光として放出する特性を持っているのが「蓄光顔料」です。
ヽ(゚Д゚;)ノ!!
博士~
頭痛が・・・・
じゃろうなwww
難しいところは読み飛ばして構わん。チッコちゃんが蓄光を活用するのに直接関係ないからの。
「蓄光塗料」は、紫外線を蓄えて暗い時に光る便利な塗料ということだけ抑えておけばいいじゃろ
この先には蓄光を有効に活用するために大切な説明が出てくるぞ! チッコちゃんでも分かるように書いてもらったから最後まで頑張るんじゃw
蓄光の効果的な光らせ方【光の波長】
蓄光顔料を励起(れいき)させるための「光」には効率の良い波長があり、これを「励起波長」といいます。 蓄光顔料の種類により差はありますが、代表的な種類ではおおよそ紫外線領域で励起します。
さらに詳しく!蓄光の効果的な光らせ方【光源(照明)】
よく「蓄光を光らせるにはLEDが有効」と聞きますが、これは正確ではありません。
照明にはLED、白熱灯、蛍光灯、水銀灯、ナトリウムランプ・・・・など様々な種類があります。 蓄光顔料を励起させるには、前述の通り「紫外線領域の波長を含む光」が必要であり、逆に言えば「紫外線領域の波長を含む光」であれば照明の種類は何でも良いのです。
LEDには(R)赤色発光、(G)緑色発光、(B)青色発光などがあります。
白色はRGBの組み合わせにより実現され、「昼光色」「昼白色」「電球色」などは、RGBのバランスを変えることで実現されます。
暖色系ほど、紫外線領域~可視光の青領域が抑えられています。この短波長側の光をカットした暖色系LEDは、蓄光を光らせるには不利といえます。
もっともLEDは効率よく目的の可視光を作り出すため、紫外線の放射は従来照明より少ないといわれております。
また紫外線領域は人体に良くない影響があるとされ、僅かに発生する紫外線を更にカット処理することもあります。これらLED照明と従来の蛍光灯を比較した場合、従来の蛍光灯の方が蓄光の励起には適しているといえるでしょう。
ではなぜ多くの方が「蓄光はLEDでよく光る」などと認識しているのでしょうか。
おそらくですが、最近では紫外線領域の発光を示す「UVライト(紫外線ライト・ブラックライト)」などのLEDライトが安価で手に入ります。これらは蓄光を励起させるのに非常に適しています。この「紫外線LEDライト」が拡大解釈され、「LEDでよく光る」という表現になっているのではないでしょうか。
結論として、蓄光素材を光らせやすいオススメの照明は「紫外線領域の波長を含む照明」であり、LEDであっても紫外線を含まないLEDは光らせることには向いていないといえます。
「蓄光塗料」にどんな光りを当てると、良く光る?
『蓄光塗料』を光らせやすい光の種類 | |
太陽光 | ★★★★★ |
紫外線・UVライト | ★★★★ |
紫外線を含む白色光源 | ★★★ |
紫外線がカットされた白色光源 | ★★ |
私もLEDがいいって聞いたから、LEDなら何でもいいかと思ってたわ
なるほど。
『紫外線を含む光』じゃないとダメなのねっ
その通りじゃ。
この蓄光に効果的な光源は大事じゃぞ。
よく覚えておくんじゃ。
例えば蓄光商品の企画段階では、蓄光を使用したい場所の『照明環境』を考えて、蓄光がしっかり機能してくれるか想定せねばならんのじゃ。
蓄光・夜光・蛍光・燐光(りんこう)の違い
「蓄光」と「蛍光」「燐光」の違い
光を吸収することで励起状態となり、基底状態に戻る時に光を放出する現象による「発光」には2つの種類があります。一つは「燐光」、もう一つが「蛍光」です。
「燐光」:暗所で一定時間発光し、時間を掛けて放出
「蛍光」:受けた光エネルギーをすぐに放出
化学的には、「蛍光」は励起一重項状態から基底状態(一重項状態)への電子遷移、「燐光」は励起三重項状態から基底状態への電子遷移で、遷移にかかる時間がそれぞれで異なります。「燐光」では遷移が起きるために長い時間を必要とし、それが残光となります。
「蓄光」はこの「燐光」する物質の俗称で、蓄光 ≒ 燐光〈蓄光と燐光はほぼ同義〉といえます。
「蓄光」と「蛍光」の違いまとめ
- 「蓄光」は光の供給が絶たれた後も発光が続く
- 「蛍光」は光の供給が絶たれると発光しない
- 「蓄光」と「蛍光」は広義では同じメカニズム
- 「蓄光」と「蛍光」は狭義では異なるメカニズム
博士っ!
「蓄光」と「蛍光」の違いが、イマイチ難しすぎて分からなかったの
そこのところ優しく説明お願いします!
「蓄光」と「蛍光」の違いは、皆さん知りたいところじゃからの。
「蓄光」:明るい時に光りを蓄えて、暗いところで蓄えた光を放出して時間が経っても発光が持続する素材
「蛍光」:ブラックライトなどで照らしている間、光っているように見える素材
という違いじゃ。
時間が経っても光るなら、いろんな場所で活躍してくれそうですね!
博士っ、解説ありがとう!
「蓄光」と「蛍光」はよく間違える人も多いからのぉ
2つの違いはしっかりと覚えておこう!
「蓄光」と「夜光」の違い
「蓄光」と「夜光」はほぼ同義、「蓄光塗料」と「夜光塗料」も多くは全く同じものです。 違いはありません。
ではなぜ言葉が2つあるのでしょうか。
一つは夜光塗料の歴史にあります。
その昔、夜光塗料の材料として自発光のトリチウムなどが使用されていた時期があり、安全性などの問題から現在では蓄光に置き換わりました。
つまり昔は、必ずしも「夜光塗料」=「蓄光塗料」ではありませんでした。
もう一つは、古くから蓄光顔料を取り扱う有名メーカー「根本特殊化学(株)」さんが、蓄光顔料を「N夜光(ルミノーバ)」という商品名で展開していることがあります。
その他、蓄光は中国語で夜光と書くところからでしょうか。
その辺りの影響から蓄光を夜光と表現するケースがあるようです。
塗料では「蓄光塗料」より「夜光塗料」の方が馴染みが深いようです。尚、商品に「夜光塗料」と”夜光”を使用しているからといって、根本特殊化学さんの正規「N夜光(ルミノーバ)」が使用されているとは限りませんのでご注意ください。
“ほぼ”を付ける理由
ごく稀に、発光する物に対して蓄光に限らず「夜光」と表現する方がいます。 字のごとく、夜に光って見えるものはみんな夜光といった感じです。
つまり夜光の方が蓄光よりもやや広義な使われ方や、解釈がされる場合があります。
塗料に限定して言えば、夜光=蓄光と思っていただいてほぼ大丈夫です。
「夜光」についてはコラム「蓄光塗料の安全性について」でも触れております。よろしければそちらもご参照ください。
化学発光(ケミカル発光)との違い
みなさんがご存知の発光する物質には、化学発光(ケミルミネセンス・Chemiluminescence)というものもあります。コンサート会場などで使用される、ポキっと折ることで一定時間発光するスティックなどがこの化学発光です。ケミカルライト、サイリウムなどとも呼ばれます。
(株)ルミカさんが所有する商標ルミカライトの呼称の方が有名かもしれません。
これは2つの物質が合わさった時に起きる化学反応によって分子が励起状態になり、基底状態へと戻る過程で発光するものです。
発光のメカニズムとしては蓄光と似ていますが、分子を励起させるエネルギーとして蓄光は「紫外線領域の光」を使用し、化学発光では「化学反応エネルギー」を使用するところが異なります。
自然界で見られる発光、例えばホタル、クラゲ、ホタルイカ、ウミホタルなどで見られる発光はこの化学発光です。
尚この化学発光では2つの物質による化学反応が終われば発光も終わります。 一方蓄光では、励起と発光によって蓄光自身の化学構造に変化は生じないため、紫外線領域の光を供給する度に何度でも発光を繰返します。
蓄光塗料と夜光塗料、蛍光塗料の違い
蓄光塗料 = 夜光塗料
前述の通り、蓄光塗料と夜光塗料は同じものです。蓄光の表現が夜光となっているだけで、品質や仕組みに違いはありません。
蓄光(夜光)塗料 ≠ 蛍光塗料
蓄光(夜光)塗料と蛍光塗料は異なるものです。
蓄光(夜光)塗料とは?
簡単にいうと
「暗所で一定時間発光する機能を加工対象に付与する塗料」
やや詳しくいうと
「紫外線を含む光を受けるとその光を溜め込み、溜め込んだ光を一定の時間を掛けて可視光として放出(発光)する物質「蓄光顔料」が含まれた塗料。」
蛍光塗料とは?
簡単にいうと
「ブラックライトを当てている間、色鮮やかに発光する機能を付与する塗料」
やや詳しくいうと
「紫外線を含む光を受けるとその光が可視光に変換され瞬時に放出される機能を持つ『蛍光顔料』が含まれた塗料」
使用目的は、他の通常色よりも際立った印象を与えるために用いられる場合(蛍光ペン・蛍光マーカーなど)と、ブラックライト(紫外線・UV光)を当てることで、暗所で色鮮やかに発光する様子(アミューズメント・劇場などの演出)を付与する目的が挙げられます。
蓄光との決定的な違いは、ブラックライトを当てている間は発光しますが、消灯した瞬間光らないことです。
蓄光塗料と蛍光塗料には加工性に大きな違い
蓄光塗料と蛍光塗料では加工性に大きな違いがあります。
蛍光顔料の粒子サイズは一般的な着色顔料と大差が無いため塗料化は容易で、また塗料の使用も一般的なカラー塗料同様、特に気を使うこと無く使用できます。
蓄光顔料は、最も小さな粒子サイズであれば2、3μmと蛍光顔料と同じくらいですが、強く光らせるために15μmから、30μm前後のサイズまで塗料の材料として使用されます。また蓄光顔料は比重が重く、非常に硬い性質があります。
このため、
- 低圧ガンなどの場合、蓄光顔料粒子サイズと噴き出しノズル径に注意しなければなりません。
- 粗悪な蓄光塗料では沈殿・分離が激しいので、施工の最中でも撹拌を意識する必要があります。
- 塗料カップが上にあるタイプでは、塗料供給部の目詰まりに注意しなければなりません。
上記の様に、蛍光塗料と比較すると蓄光塗料の方が加工技術を要するといえます。
発光するものって色々あるなぁとは思っていたけど、仕組みなんて考えたこともなかったわ。
発光する仕組みも色々なんですねっ
博士~
「畜光」っていうのも見かけるんですがこれは蓄光と一緒ですか?
「蓄光」と「畜光」じゃな。
パット見気づかんが、たまに見かけるのぉ
これは完全に変換間違いじゃw
「チッコウ」と入力した時に変換されず、「チクコウ」と入力して変換した結果「蓄」と「畜」を見誤ったものじゃろう。
蓄光顔料の種類&タイプ別の分類
蓄光顔料にはいくつかの発光色があり、化学構造がそれぞれで異なります。 大雑把に分類・解説致します。
発光 | 歴史 | 価格 | |
---|---|---|---|
A.硫化亜鉛タイプ | 弱い | 古い | 安い |
B.基本タイプ | 普通 | 新しい | 普通 |
C.高輝度タイプ | 強い | 高い |
A.硫化亜鉛タイプ
化学組成に硫化亜鉛を含むタイプで、一世代前の蓄光顔料といえます。
グリーン発光、赤色発光、オレンジ発光などがあります。
亜鉛を含むことから多くの大手企業では使用が禁止されていますが、価格が安いことから未だにニーズがあるため流通しています。赤色発光は硫化亜鉛径にしかないため、釣具などの分野では重宝されています。
B.基本タイプ
現在主流で流通している蓄光顔料です。
最も流通量が多いものでは、アルミン酸ストロンチウム系(グリーン発光/ブルー・グリーン発光)が知られています。
比較的後発として販売されたタイプでは、珪酸ストロンチウム・珪酸マグネシウム系(ブルー発光)などがあります。
C.高輝度タイプ
通常タイプと化学構造的には大差ないのですが、微妙な違いや後加工により高輝度を実現したタイプを通常タイプとは分けて「高輝度タイプ」と表現されます。
グリーン発光といっても様々
多くの方は蓄光顔料を「グリーン発光」「ブルー・グリーン発光」と、発光カラーで分類・認識しています。
ところが、実はグリーン発光といっても様々な種類があります。 上記の分類でいえば、硫化亜鉛系のグリーン発光もあれば、通常タイプのグリーン発光、高輝度タイプのグリーン発光もあります。
また多くのメーカーがグリーン発光蓄光顔料を生産しており、品質も様々です。一口に「グリーン発光」といっても一様ではありません。
カラー蓄光顔料
通常、蓄光顔料は、「アイボリー~淡い黄色・淡いグリーン色」をしていますが、最近では「ピンク」や「青」など、明るい時にもカラフルな蓄光顔料がみられます。
これらカラー蓄光は、蓄光顔料に着色顔料を混ぜて実現されています。
UETAYAではカラー蓄光顔料を「マルチカラー蓄光顔料」という表現で展開しております。
従来は産業資材などにしか利用されていなかった蓄光顔料ですが、他社では実現されていない独自技術を採用し、カラー化・多色化の技術力を活かして、商品化したのが、「マルチカラー蓄光顔料」です。
「発光を楽しむ」嗜好品として、幅広い目的で利用して頂いています。
蓄光というのがどんなものなのか、何となく分かった気がするわ♪
蓄光と、蛍光などその他の類似品との違いを把握できれば充分じゃ
ワシは以前、AmazonやYahooショップで「蓄光塗料」と表記しながらも画像は間違いなく「蛍光塗料」という商品も見かけたぞ。
販売者も理解できておらんというお粗末な例じゃ。 買うときにはよく注意して間違えないようにすることじゃ。
ではチッコちゃん、ワシはこれで寝るとするぞ。
もしまた質問ができたらUETAYAさんに聞いてみると良い。商品購入に関わらない疑問や質問にも答えてくれるぞ。
うん!
質問ができたらUETAYAさんに電話するわ ♪
博士今日もありがとっ
おやすみなさーい