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藍染めとは?【「藍染め・本藍染め・正藍染め」のについて解釈まとめ(これから藍染めを始める人向け)】

一口に藍染めといっても様々な種類の材料や染め方があります。藍染めに挑戦しようと検索したところ情報が多すぎ、またそれらが線で繋がらず面食らってしまった方も多いのではないでしょうか。

藍染めの概要

藍染め・本藍染め・正藍染めの定義と解釈に入る前に全容を説明いたします。入門の方が混乱しないよう、あまり深堀りせず大雑把に解説いたします。

藍染めの概要(藍染め・本藍染め・正藍染め)

藍染めに使用される染料の種類

天然染料(様々な種類の藍植物)

蓼藍

藍染めに使用される植物は様々あります。共通してインディゴの元となる成分「インジカン」を含んでいます。

藍染め文化として世界ではウォードやインド藍が、日本では蓼藍(たであい)・琉球藍などが有名ですが、使用されている植物はそれぞれで異なります。

化学染料(化学的に作られた藍染料)

インディゴ成分を化学的に生成したものがインディゴピュアです。合成藍・化学藍も同義です。

ここでは「藍染めに使用できる植物は色々ある」「化学的に作られた染料もある」くらいまで覚えておくと良いでしょう。

藍染めの染色技法

染色にも様々な方法があります。

生葉染め

藍の生葉からインジカンを抽出した染液で直接繊維を染めます。一般に生葉は保存ができず、また濃度も薄く効率が悪いので、次に紹介する技法と比べるとレアです。

沈殿藍による藍染め

濃縮された染料を一旦得るのが沈殿藍の技法です。生葉を水に漬け成分を沈殿させることで植物から染料を抽出します。沈殿させた泥状の藍成分「泥藍」を使用する染め方と、泥藍を乾燥して得る「藍錠」を使用する染め方があります。

蒅(すくも)を使用する藍染め

蒅とは収穫した蓼藍の葉を堆肥の様に発酵させて作られた物です。この蒅を”建てる”といわれる作業により染色できる状態にします。酵素のチカラを使って建てる「発酵建て」と薬品で建てる「化学建て」があります。

インディゴピュアの化学染め

化学染料であるインディゴピュアを使用し染色します。

ここでは「色々な染め方があるんだ」程度に覚えておくと良いでしょう。

藍染めとは? 藍染め・本藍染め・正藍染めの定義と解釈

「藍染め・本藍染め・正藍染め」などの用語について、その定義は厳格に定められている訳ではありません。歴史の中で定着してきた区別なのですが、解釈にばらつきがあったり間違った見解をインターネット上で見かけます。理由としては立ち位置の違いや歴史・伝統に対する見解の相違が考えられるでしょう。もう一つは、理解を深めないままコピペされた文章によるところです。オリジナルをそのままコピペなら良いですが、前後を端折ったり下手に加筆して投稿されるので間違いが増殖してしまいます。

いずれにしても、これから藍染めを始めようとする方にとって非常にややこしいことになっていますので、平均的な解釈をまとめました。

「藍染め」の定義と解釈

多くの方の解釈

ほとんど多くの消費者は「藍染め」といえば「藍の葉を使用して染めること」「それにより染められた物」をイメージします。生産者の多くもこの様に定義しているでしょう。

藍の葉を使用した染めを「藍染め」、化学染料による染めは「インディゴ染め」と区別している方も多いようです。

一部の方の解釈

藍染めを直訳すると「indigo dye」です。インディゴ(インジゴ)は青色に発色する成分で顔料と染料の特性があります。

藍染め = indigo dye = インディゴによる着色

藍染めを「インディゴ成分による着色」「インディゴにより着色された物」と解釈した場合、藍植物を使用した場合に限らず、化学藍(インディゴピュア・合成藍)で染色した場合も藍染めとなってしまいます。

藍植物を使用した藍染め作家さんは「化学染料を使用した染色を藍染めとは言わない!」と憤るでしょう。しかし、残念なことですが化学染料で染色した製品が「藍染め」と称され販売されているケースは実に多く見受けられます。

化学染料では圧倒的な低コストで製品を作ることができます。本物志向ではない生産者が化学染料を使用した製品を「藍染め」として販売するのです。

インドや中国で生産されている藍染め品で安価なものは化学染料による製品の可能性があります。日本製でも化学染料で染色した製品を「藍染め」としているケースを知っております。

彼らの解釈は「藍染め = indigo dye = インディゴによる着色」なのです。消費者の多くが「藍染め」といえば藍の葉を使った自然染めをイメージすることを認知しているでしょうから、半ば消費者を騙すような商売です。個人的には解釈というより屁理屈に近いと思います。それに対し「詐欺だ!」「化学染料を使用したインディゴ染めは藍染めと表記するな!」とまでは言えないのが実情です。

化学染料による染色と藍植物による染色を区別した「本藍染め」

上記の通り「藍染め」には化学染料による染色製品も含まれてしまっているのが実情です。そのため天然の藍植物を用いた染めを提供する方々は「本藍染め」と称し化学染料を用いた染色と差別化を図っています。なお、染色の過程で苛性ソーダやハイドロサルファイトなどの化学薬品を使用しても、あくまで藍植物を用いていれば「本藍染め」と称されるようです。

この用語は、狭義では蓼藍のすくもを建てて染色する技法で使用されていますが、広義ではインド藍や琉球藍など天然藍全般で使用されています。

消費者は、本藍染めと聞くと「藍植物を染材とし、化学薬品を使用しないで染色されたエコな物」と解釈する方が多いようですが、一部の生産者は染色の過程で化学薬品を使用しても本藍染めと表現しますので注意が必要です。
化学薬品を一切使用していない藍染めをお求めの場合「本藍染め」の表記だけでは判断できませんのでご注意ください。

ここでも残念なことに、心無い業者が本藍染めと称しながら化学染料を使用しているケースがあると聞きます。藍植物を使った染色では思うような濃度が出ない場合があり、そのような場合に化学染料を使用するようです(化学藍を染色業者に販売する業者から得た情報です)。
ここまで来ると悪意があると考えられるため、景品表示法か何かにひっかかりそうですが、そのような話はあまり聞きません。できあがった製品から簡単に判断できないため問題になりにくいのかもしれません。

「本藍染め」は比較的新しい言葉のようで、いくつかの見解が見受けられます。化学染料を用いた藍染めとの区別を図り「本藍染め」と表現されたという見解の他、次に説明する「正藍染め」との区別を図り「本藍染め」という表現が生まれたとする見解もあります。

伝統技法「本建て(地獄建て)正藍染め」

蓼藍の葉を発酵して得られる”すくも”を染材として染色する技法では、まず先に藍を”建てる”といわれる作業を行います。この作業により水に溶けないインディゴを水に溶ける状態に化学変化させます。

藍を建てる方法には大きく分けて2つの方法があります。1つは発酵建てといい酵素の働きによりインディゴを還元する方法です。昔ながらの伝統技法です。もう1つは化学建てといい、苛性ソーダやハイドロサルファイトを使用します。温度などに影響されず時間も掛からないので手軽に染液を作ることができます。

発酵建ての内、灰汁のみで藍を建て貝灰や麩で維持する技法を「本建て」と言います(「地獄建て」とも言われます)。その藍液により染めること、染められた物を「正藍染め」といいます。

化学建てはもちろん、発酵建てでも消石灰や日本酒などを使用する技法は正藍染めとは言いません。

藍染めとは?【まとめ】

「藍染め」

  • 多くの消費者及び藍染め作家が藍の葉を材料として用いる染色を「藍染め」と解釈している。
  • 多くの方は、化学藍によるものを「インディゴ染め」と区別している。
  • 一部の生産者は化学染料によるものも「藍染め」としており、市場には化学染料で染められた製品も「藍染め」として氾濫している。

「本藍染め」

  • 藍植物を原材料として用い染色すること。
  • 化学染料によるインディゴ染めは本藍染めとは言えない。
  • 染色過程で苛性ソーダやハイドロサルファイトなどの化学薬品を使用していても該当
  • 多くの消費者が化学薬品を使用していない藍染めと解釈してしまうのも事実。

「本藍染め」は最も解釈が分かれる言葉のようです。「本藍染め」と言われた時に、それだけでは何を意味しているのか分かりません。注意深く内容を確認する必要があります。

「本建て(地獄建て)・正藍染め」

  • 蓼藍のすくも建て技法の内、灰汁のみで藍を建て、染液の維持に麩や貝灰以外を用いない技法を本建て(地獄建て)という。
  • 本建てされた染液により染色すること、染色されたものを正藍染めという。

参考

ショートコードショートコード

当ページの見解は、あくまで弊社が平均的と思われる解釈をまとめたものであり、これもまた一つの捉え方、一つの見解とお考えください。藍染めに関わる多くの方の中には、当ページの見解は誤りであるとお考えになる方もいらっしゃると思います。そのように捉え参考にしていただけますと幸いです。

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