酸性染色など酸を促進剤とする染色方法での、初期に入れる酸と追加で入れる酸のバランスについてのお話しです。
最適な初期酸と、適切な追酸方法が酸性染色で染色ムラを出さない秘訣
入れた染料を全て吸着させるのが酸性染色の基本
酸性染色では、投入した染料を被染物に残さず着けるのが基本です。データを管理し同じ色を繰り返し出す場合には特に重要です。
多くのムラは初期酸と追酸のバランスが悪いことが原因
初期酸が多すぎると染め足が早くなりムラになってしまいます。少なすぎると高温で残る染料が多くなり、追酸でムラにしてしまいます。最適なバランスは、昇温後、沸騰で10分から15分程度経過した頃に染料の95%以上が吸着して無くなるようなバランス設定です。
ホビーで1回染めるだけの場合では、必ずしも染料が全て吸着しなくても構いません。様子を見て目的の色に近づいたら途中で止めても結構です。
その場合でも、初期酸と追酸のバランスがムラに大きくつながることは一緒ですので知っておくと良いでしょう。
初期酸と追酸について動画にまとめましたのでご覧ください。
具体的な初期酸の量
具体的にどの程度の初期酸が良いのか目安を記します。染料濃度は、赤・青・黄色など複数の染料で染める場合はその合計です。
染料濃度1.5%以上
⇨ 蟻酸:0.5~1ml/L
かなりの濃色です。染色初期からしっかり染着させていく必要があります。追酸も蟻酸で0.5~1ml/Lずつ行って良いでしょう。
染料濃度1%くらい
⇨ 酢酸:0.5~1ml/L
まずまずしっかりした色目です。染色初期からしっかり染着させる必要がありますが、急激に着けるとムラが目立ちます。追酸は酢酸0.5~1ml/Lを2、3回行い、それでも残るようでしたら蟻酸で良いでしょう。
染料濃度0.1%くらい
⇨ 酢酸:0.2~0.5ml/L
やや浅い、柔らかな色目です。初期酸を抑えても沸騰前に染料が終わってしまう場合も出てくるでしょう。そのような場合は緩染剤の使用をおすすめいたします。この濃度では沸騰後の残液はほとんど透明に見えると思います。念の為追酸を0.5~1ml/Lほど入れて終了しましょう。
染料濃度0.05%以下
⇨ 酢酸:0.2ml/L
かなり淡い色目です。酢酸は最小限に留め、緩染剤により染め足を抑えます。沸騰後は念のため酢酸を0.5~1ml/Lほど追酸して終了しましょう。
注意事項
酢酸・蟻酸は、弊社で提供している濃度を基準としております
酢酸や蟻酸には濃度があります。上記は弊社で提供している濃度での目安です。
染料の種類により上記の限りではございません
染め足は赤や青、黄色など染料の種類によって変わります。あくまで参考値としてご覧ください。
まずは少量で試験染めを行い、初期酸の量にあたりを付けると良いでしょう。