染液を作る
染料
必要な染料を計量し、よく溶かして染液を作ります。
酢酸または蟻酸(初期酸)
酸性染色では染着速度を酸でコントロールします。染料濃度に応じた酸を入れてください。
界面活性剤
洗剤です。被染物に水が馴染むようにする目的(浸透効果)で使用します。
専用の界面活性剤がなければ台所用洗剤でも結構です。なお、洗剤は非イオンまたはノニオンあるいはアニオン系である必要があります。特に表記がない場合でも多くの場合で問題ないと思います(問題ある場合は染料と洗剤が決着して凝集・沈殿が起きます)。
被染物を入れる
染色する対象物を投入します。投入後すぐに温度を上げるのではなく、被染物全体に染液がしっかりと馴染むまで時間を置きます。寝かす時間は被染物の繊維種類や形状により調整してください。一般的には5分程度で充分でしょう。
昇温を開始する
被染物全体に染液が染み渡ったら温度を上げていきます。
急激に温度を上げると染液内で熱が不均一となりムラになってしまうので、ゆっくりと温度を上昇させましょう。上昇のペースは被染物の形状や浴比により異なります。ムラになりやすい物では緩やかに、ムラになり難い物では比較的早めに設定します。一般的には1分間で1℃上昇するくらいの昇温ペースが良いでしょう。
追酸を行う
ふっとう後しばらくして、染料が残っているようであれば追酸を行います。
酸性染色の基本的な考え方
酸性染色では入れた染料すべてが被染物に吸着し、残液に染料が残らないように設定するのが基本です。
ふっとう後、10分15分ほどですべての染料が無くなるくらいが理想です。
早くに無くなってしまう場合
- 初期酸を減らす
- 均染剤を使用する
染料が早くに無くなってしまう状況は、染色ムラが生じやすい状況ですので調整しましょう。
淡い色など染料が少ない場合は、初期酸を減らしても沸騰まで染料が残らない場合があります。そのような場合は均染剤を使用します(均染剤を使用する場合でも初期酸を最低0.2%程度は入れましょう)。
染料が残りすぎる場合
- 初期酸を増やす
- 酢酸から蟻酸に変える
- 昇温時間を延ばす
- 染料が多すぎるので適量に調整する
※残液の見方ですが、染料の色目や量により、水のような『まっ透明』にはなりません。じゃっかんは色が残ります。どの程度の色残りで『全部染着した』と判断するのかは、経験で分かるようになります。